嘘だと思うかもしれませんが、いまのIT業界はどこもITエンジニア(プログラマー)が足りていない「人材不足」の状態。
どの企業も開発したいサービスはあるのに、それを作れる人材が不足しているため、かなり困っているのです。
とはいえ、なんとかしてエンジニアを確保してプロジェクトをまわしたい!
そんな各IT企業は、エンジニアを確保するために以下のような手段をとっています。(下にいくほど優先度が低くなります)
- プログラミング経験者を採用する
- ゲストエンジニアを入れる
- 外注する
- 未経験者を採用する
企業が未経験者を採用するまでに、どのようなことが起こっているのか、人事である僕視点で紹介したいと思います。
もくじ
IT業界のエンジニア人材不足は、経験者が足りないから
まず、ITエンジニアが不足しているこの現状を考えればわかりますが、どこの企業も経験者が欲しくてたまらない状態です。
そのため、経験者に限っては常に募集している企業がほとんど。
転職サイトなどで求人を出していなくても、企業ページの問い合わせフォームから申し込めば、経験者はあっさり面接まで話が進むこともあります。
ただ、各企業が狙っているエンジニアはそれなりのスキルがあるため、より好条件の企業にとられてしまうことが多く、弱小企業は獲得できません。
少し前までは、「新卒が有利」みたいに言われていた時期もありましたが、いまは圧倒的に経験者が有利なんですよね。
ほかの職種であれば、「空きができたから補充」とか「定員1名募集」みたいな採用枠だったりしますが、エンジニアはスキルがあればいつでも転職できる時代なのです。
また、このエンジニア(プログラマー)不足は、10年以上続くと言われています。エンジニア目線で考えれば需要が高いことは嬉しいですね。

ゲストエンジニアでその場をしのぐ
経験者採用が難しいといっても、プロジェクトはどんどん動き出してしまいます。
それまでに、どうにかしてエンジニアを集めなければなりません。
そこで登場するのが、「ゲストエンジニア(外部から出向で来てもらうエンジニア)」です。
企業側だって、本音を言うとゲストエンジニアなんて入れたくないんですよ?
だってこのゲストエンジニア、コスパがとっても悪いんですもの。
大した経験のないエンジニアにお願いする場合でも、1ヶ月60万円~80万円くらいの単価を支払わなければなりません。
エンジニアが足りないから仕方がないのですが、どうしても相手の言い値になってしまうのが会社として痛いですね。
ちなみに、ここでおいしい思いをするのはゲストエンジニアの所属会社(派遣会社)であって、ゲストエンジニア本人ではないので勘違いしないように。

最終手段は「外注」か「デスマーチ」
企業はゲストエンジニアを入れてでも、なんとかして自社でプロジェクトをまわしたい理由があります。
- 受注先から開発費をもらい、売上にしたい
- リスケ(再度日程調整をすること)が難しい
仕事を受注し、お金をもらいたいのは当たり前ですが、リスケが難しいという理由も大きいです。
どうしても人が集まらない場合は、プロジェクトのリスケも検討すべきなのですが、なかなかこれが難しいんですよね。
わかりやすくいうと、受注先の会社に「リスケしたい!」なんて言ってしまうと、自社の信用を落としかねないので、無理してでもスケジュール通りに進めなければならないのです。
自社サービスを持っている企業であれば、リスケなどの融通がきくかもしれないんですけどね。
では、リソース(人員)調整ができない状態で案件を受注してしまった企業は、一体どうしたらいいのでしょうか?
そこで最終手段である「外注」の登場です。
簡単にいうと、人材の揃っているほかの会社にプロジェクトの一部、またはすべてをお願いしちゃうのです。
受注先の会社 (お客さん)
↓↑
自社
↓↑
外注した会社
上のように、自社はあくまで中継するだけのポジションになります。
受注先から開発費をもらい、外注の会社へは要求された分の開発費を支払います。そして、これらの差分を自社の売上とするのです。
リスケ(スケジュール再調整)せずに済むというメリットもありますが、外注するデメリットもあります。
- 自社の売上が減ってしまう
- 依頼会社が期限に間に合わなかった場合のリスクを負う
ちなみに、ゲストエンジニアの確保ができないまま外注に出さず、リスケもせず、残っている社員だけでなんとかしようとすると、「デスマーチ」と呼ばれるプロジェクトに変化します。
これはブラック企業が得意とするやり方なので、「会社選びに失敗したな」と感じたらすぐに転職したほうがいいです。長くいると精神が崩壊しますので。

未経験者をITエンジニアに育てる
プロジェクトを回すための人材確保であれば、ここまで紹介した内容で何とかやれます。
ですが、こんなことを続けていては社員も増えませんし、会社だって大きくなりません。
エンジニアが足りないからといって、いつまでも「ゲストエンジニア無双」をプレイし続けていても仕方がないのです。会社にうまみもありませんしね。
そこで企業は、常に経験者採用をしつつも、未経験者採用も並行して進めていきます。
ポテンシャルの高い未経験者であれば、しっかり教育することで立派なエンジニアへと数年で成長するからです。
ただ、なかには未経験者を採用しても、たいした教育を受けさせずに、いきなりデスマーチ案件に飛び込ませる「超絶ブラック企業」も存在します。
会社選びに関しては、入社するまで分からないギャンブルみたいなところもあるので、注意が必要ですね。
入社前にできることといえば、プログラミング研修をあてにせず、事前に独学やプログラミングスクールなどでスキルを身につけること。
会社は、あまり信用してはいけません。
どんなときでも信用できるのは、自分のエンジニアとしてのスキルだけなのです。

まとめ
エンジニア(プログラマー)不足によるIT業界の現状が、なんとなく伝わったでしょうか。
企業としても、会社を大きくするためには経験や学歴に関係なく、少しでもポテンシャルのありそうな人を採用して、育てていくしか方法は残されていないのです。
そして、これはエンジニアを目指している方にとっては、大きなチャンスでもありますよね。
学歴や経験がなくても未経験採用をしている企業であれば、エンジニアとして転職することができるのですから。
ちなみに転職先の企業は、さきほど紹介した「受注先の会社、受注した会社、派遣会社、外注会社」のいずれかに属します。


エンジニアの需要が高いのは事実ですが、入社する企業を間違えると「ブラック企業」や「IT土方」とお友達になってしまう可能性があるので注意しましょう。
繰り返しになりますが、入社した会社がどのような社風で、どのくらいブラックなのかなんて、入ってみるまでわかりません。
大切なのは、いつでもそこから抜け出せるように、事前にプログラミングスクールなどでスキルを身につけておくことです。
プログラミングスキルは転職した後だけでなく、転職活動でもかなり有利になるので無駄にはなりませんよ。
またね、キツネ(@kitaaaa_kitsune)でした!
