個人事業主になると、自分で税金を納める必要があります。
もし、あなたが何の計画性もなく「期限までに確定申告すればいいや」なんて考えているのでしたら、それは非常に損をする可能性が高いです。
なぜなら、当たり前のように出ていく食費やサービス、車、家賃、光熱費なども「経費」として計上できる可能性があるからです。
日頃から「これは経費になる」「これは経費にならない」と判断できなければ、領収書などをもらい損ねてしまうことでしょう。
つまり、「節税」は確定申告よりも前にすでに始まっているってことなんです。
この記事では、個人事業主の税金対策として
- 経費とは何なのか
- どこまでが経費になるのか
- 経費に上限はあるのか
- 経費の計上方法
など、確定申告する際に必要な「所得控除」について詳しく紹介していきます。
確定申告について詳しく知りたい方は、さきにこちらの記事をお読みください。

もくじ
経費とは
経費とは、事業をおこなうにあたって必要な費用のこと。
そのため、事業とはまったく関係のないプライベートでの出費は経費にすることができません。
逆にいうと、何かしら事業に利用した物やサービスの費用は、経費として計上できる可能性があるということでもあります。
経費のメリットは「税金対策」
個人事業主として経費を計上するメリットは、やはり「税金対策」です。
たとえば、最終的に500万円の所得があったとして、経費を計上せずに確定申告すると、そのまま500万円が課税の対象になります。
ですが、ここで経費100万円を計上して確定申告すると、400万円に対してのみ課税されるのです。
- 「所得税」…5%~45%(累進課税)
- 「住民税」…一律10%
上のとおり、所得税は「累進課税」となっているため、所得が増えれば増えるほど納める税金の割合も大きくなります。
住民税に関しても所得の10%と、所得が増えた分だけ納税額が増える仕組みになっています。
個人事業主になったら、経費で所得を減らして節約することの重要性がわかりますよね。
個人事業主の経費上限はいくらまで?
個人事業主が計上できる経費の上限は、いくらまでなのでしょうか?
実は、個人事業主の経費に上限はありません。
つまり、経費にすればするほど所得が減り、手元に残る金額を多くすることができます。
ですが、あくまでこれは経費の金額に上限がないだけであって、どんなものでも経費になるというわけではありませんので注意しましょう。
個人事業主の経費はどこまでOK?家賃、車、食費など
では、経費はどこまで認められるのでしょうか?
事業で利用しているものであれば、基本的に経費として計上できます。
たとえば、一般的なものでは以下のようなものが経費になります。
- 「地代家賃」…家賃、月極駐車場代など
- 「水道光熱費」…水道料金、電気料金、ガス料金、灯油代など
- 「通信費」…電話料金、インターネット料金など
- 「交際費」…飲食代など
- 「旅費交通費」…電車賃、バス代、タクシー代、飛行機代、駐車場代、宿泊費など
- 「消耗品費」…10万円未満、または法定耐用年数が1年未満のもの
- 「減価償却費」…10万円を超えるパソコン、カメラ、自動車などの固定資産
どの勘定科目に何を含めるかはある程度は決まっていますが、ガソリン代のように使用頻度によって「旅費交通費」や「車両費」などと選べるケースもあります。
また、該当する勘定科目がない場合には「消耗品費」として計上することができます。
ただし、これらが経費として認められるかどうかは、以下の要素を満たしているかが重要です。
- 必要な理由は何か
- どこで発生したか
- どのくらいの頻度か
経費は、あくまで事業に不可欠であり、プライベートとしっかり区別できていることが条件になっています。
【節税の裏ワザ】家事按分で経費の割合計上
節約の裏ワザとまではいかないかもですが、「家事按分(かじあんぶん)」は絶対に知っておきましょう。
家事按分とは、業務でもプライベートでも利用する「モノ」や「サービス」のうち、業務に利用する部分の割合を経費として計上することです。
たとえば、10万円の賃貸に住んでいて、部屋全体の40%の面積を業務で使っていたとしたら、経費として計上できるのは4万円になります。
また、自動車なども業務とプライベートの両方で利用する場合、使用日数や走行距離で家事按分することができます。
家事按分については、青色申告と白色申告とで少し基準が違います。
- 「青色申告」…事業に利用しているなら割合に関係なく計上可能
- 「白色申告」…基本は業務利用が50%を超えるものが対象(明確に区分できる場合は50%以下でも経費に計上可能)
結果的には、どちらも割合に関係なく経費として計上できますが、白色申告のほうはより詳細な説明義務が発生する可能性が高いです。
また、使用頻度や割合については自己申告になりますが、自宅での作業が多いにもかかわらず車を経費にしてしまうなどすると、税務署から詰められたときに証明できず困る可能性があるので注意しましょう。
消耗品費と減価償却費
高額な経費は、さきほど紹介した「消耗品費」や「減価償却費」として計上することができます。
- 「消耗品費」…10万円未満の経費
- 「減価償却費」…10万円以上の経費
とくに、パソコンや自動車を経費とする場合、このどちらで計上するのかが重要になってきます。
消耗品費(10万円未満)
通常、10万円未満のものであれば「消耗品費」として一括で経費に計上できます。
もちろん、消耗品費として計上できるのは、業務に必要な機材や消耗品だけ。
10万円以上になると固定資産扱いとなり、「減価償却」されるのが基本です。
減価償却資産(10万円以上)
10万円以上のものになると、定められた法定耐用年数で「減価償却資産」として経費を計上します。
法定耐用年数とは、税法で定められたパソコンや車などの耐用年数のことで、この年数が減価償却の期間となります。
消耗品費との大きな違いは、この数年に渡って所得控除を受けるという部分です。
たとえば、20万円のパソコン(法定耐用年数4年)なら、以下のように4年で減価償却されます。
- 1年目…5万円
- 2年目…5万円
- 3年目…5万円
- 4年目…5万円
また、減価償却にも以下の2種類があります。
- 「定額法」…耐用年数ごとに一定額で計上
- 「定率法」…耐用年数ごとに一定率で計上
ただし、個人事業主の場合は基本的に「定額法」で計上することになります。
どうしても「定率法」で計上したい場合は、事前に申請して許可を取る必要があるので注意。
ちなみに、自動車はローンで購入すると経費にはなりませんので気を付けてくださいね。
また、新車と中古車で法定耐用年数が変わることも忘れずに覚えておきましょう。
一括償却資産(10万円以上20万円未満)
一括償却資産とは、10万円以上20万円未満のものにおいて、法定耐用年数に関係なく3年で均等に減価償却する資産のことです。
たとえば、15万円のパソコン(法定耐用年数4年)であっても、以下のように3年で減価償却されます。
- 1年目…5万円
- 2年目…5万円
- 3年目…5万円
できるだけ早く減価償却させたい方は「一括償却資産」を選び、毎年少しずつ減価償却させたい方は「減価償却資産」を選ぶといいでしょう。
少額減価償却資産の特例(30万円未満)
少額減価償却資産の特例とは、30万円未満の固定資産をその年に一括で減価償却できる制度です。
簡単にいうと、10万円未満のものしか一括計上できなかった「消耗品費」のアップグレード版みたいな感じですね。
ただし、こちらは青色申告者のみが利用できる制度となっています。
もし、10万円以上30万円未満のPCや車などの一括計上を考えているのでしたら、個人事業主になって青色申告しましょう。
ちなみに、30万円以上のものに関しては「減価償却資産」として計上することになります。

個人事業主におすすめの会計ソフト(経費アプリ)
個人事業主になって確定申告するには、以下の作成や提出が必要になります。
- 開業届
- 青色申告承認申請書
- 青色申告
- 経費の記帳など
これらの作業を片手間でおこなうのは、ちょっと大変かもしれませんね。
かといって、税理士に依頼すると毎月数万円の費用がかかってしまうので、収入が安定しないうちは自分ですべての作業をおこなうことが多いでしょう。
ただ、このさき数年管理するものに「紙」や「エクセル」を使うのは、あまり現実的ではありません。
できるだけ負担を減らすためにも、「freee」などの会計ソフト(経費アプリ)を使って入力作業の手間を減らし、クラウド上で管理することをおすすめします。
まとめ:経費の帳簿をつけてみよう!
- 個人事業主は「経費」を使って節税する
- 経費に上限はない
- 経費は事業に関わるものだけ認められている
- 経費は「家事按分」で割合計上できる
- 経費の金額によって計上方法が異なる
- 青色申告者は「30万円以下」まで一括償却できる
- 会計ソフトを使えば管理が楽になる
これであなたも経費についての理解が、グッと深まったと思います。
あとは確定申告に向けて経費の帳簿をつけられるよう、しっかり準備しておきましょう。
次回は、個人事業主に必要な「銀行口座」や「クレジットカード」について紹介します。
またね、キツネ(@kitaaaa_kitsune)でした!

